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『バック・トゥ・ザ・フューチャー』キャストたちの現在

1980年代を代表する大ヒット映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー』シリーズは、第1作の公開から40年を迎える今も変わらぬ人気を誇る。そんな傑作の愛すべきキャラクターを演じたキャストたちの現在を紹介する。

マーティ・マクフライ役 マイケル・J・フォックス

Photo: ©MCA/Courtesy Everett Collection

主人公のマーティ・マクフライは、仲良しの科学者・ドクが発明したタイムマシンで1985年の現在から過去や未来にタイムスリップするカリフォルニアの高校生。マイケル・J・フォックスは第1作で1955年に飛び、高校生だった両親たちと出くわす主人公を演じて、一躍トップスターに。

だが、シリーズ撮影中から体調不良に悩まされ、29歳だった1991年にパーキンソン病と診断される。当初は病を隠して仕事を続けていたが、7年後に公表。その後はマイケル・J・フォックス財団を設立して治療研究の支援に熱心に取り組み、2022年にはその功績と映画界への貢献が評価され、アカデミー賞ジーン・ハーショルト友愛賞が贈られた。

俳優活動も続け、2013年にはシットコム「マイケル・J・フォックス・ショウ」で13年ぶりに主演を務め、2018年に『再会の街/ブライトライツ・ビッグシティ』(1988)で共演したキーファー・サザーランド主演のドラマ「サバイバー:宿命の大統領」シーズン2にも出演したが、2020年に引退を表明した。第75回エミー賞で4部門を受賞したドキュメンタリー『STILL:マイケル・J・フォックス ストーリー』(2023)では、ポジティブな振舞いも苦悩する姿もありのままに見せている。

Photo: AP/AFLO

今年1月、任期を終える直前のバイデン前大統領から、アメリカで民間人に授与される最高の栄誉である大統領自由勲章を受勲された。その数日後、ナショナル・ボード・オブ・レビューのガラに出席したマイケルは「パーキンソン病は贈り物でした」「可能性というものについて私が語りかける聴衆を与えてくれたからです」とコメントした。

ドク役 クリストファー・ロイド

Photo: Universal Pictures/Getty Images

マーティと世代を超えた友情を育み、現代と過去で時間旅行をサポートする科学者のドクことエメット・ブラウン博士を演じたクリストファー・ロイドは、86歳の今も現役で活躍中だ。1970年代から性格俳優として『カッコーの巣の上で』(1975)などに出演し、『バック・トゥ・ザ・フューチャー』でブレイク後は『ロジャー・ラビット』(1988)、1990年代には『アダムス・ファミリー』シリーズでも知られる。

コミカルな役柄はもちろん、ジョージ・クルーニー監督作『僕を育ててくれたテンダー・バー』(2021)では教養ある風変わりな祖父、ホラーの『アイム・ノット・ア・シリアルキラー』(2016)では連続殺人鬼、『Mr.ノーバディ』(2021)では隠居老人かと思いきや実は最強の元FBI捜査官を演じるなど、幅広い役をこなしている。

Photo: Alberto Rodriguez/Getty Images

TVではマイケル・J・フォックスの主演作「スピン・シティ」(1999)や「マイケル・J・フォックス・ショウ」(2014)などで共演し、「ザ・ホワイトハウス」(2005)、「ビッグバン★セオリー ギークなボクらの恋愛法則」(2007)などにも出演し、『スター・ウォーズ』のスピンオフドラマ「マンダロリアン」シーズン3(2023)にゲスト出演を果たした。近年は、東京や大阪のコミコンへの参加を含め、たびたび来日もしている。

ロレイン役 リー・トンプソン

Photo: ©Universal/Courtesy Everett Collection

リー・トンプソンはマーティの母親で、自身の青春時代にタイムワープしてきたマーティのことを未来の息子と知らずに恋しそうになるロレインを演じた。80年代には青春映画のヒロイン役を務め、その後は映画やドラマで主役を支える助演としての活動を中心にキャリアを築く。クリント・イーストウッド監督の『J・エドガー』(2011)でミュージカル映画のスター、ジンジャー・ロジャーズの母親、『若草物語』(2018)で4人姉妹の母親などを演じている。2000年代からはTV界で監督業にも進出し、「スター・トレック:ピカード」や「レジデント・エイリアン〜宇宙からの訪問者」などで数エピソードを手がけた。

Photo: Michael Tullberg/Getty Images

長いキャリアの中で「学んできたことをすべて生かせるし、若い俳優たちにちょっとしたコツや私の知識を教えられるから、監督業は大好き。若い新人の女性たちがどういう気持ちなのか、私にはよくわかります」と語る。1987年の出演作『恋しくて』のハワード・ドゥイッチ監督と1989年に結婚し、娘のゾーイとマデリーンも俳優として活躍している。

ビフ役 トーマス・F・ウィルソン

Photo: © Universal/Courtesy Everett Collection

大きな体躯に横暴な性格で、1955年の世界でマーティの父となるジョージをいじめる悪役のビフ・タネン。脚本を手がけたボブ・ゲイルによれば、映画製作時に不動産王として名を馳せていた若き日のドナルド・トランプ大統領がモデルだという。トーマス・F・ウィルソンは続編でビフ役に加え、未来や過去のタネン家の人物も演じた。

素顔は親しみやすい人柄で、スタンドアップコメディアンとして活躍するトーマスには「Biff’s Question Song」という自作曲があり、会う人会う人から「マイケル・J・フォックスってどんな人?」と尋ねられることなどをぼやくコミカルな内容だ。ナレーションの仕事や自身のポッドキャスト番組でも人気が高い。

2024年に開催された大阪コミコンにて。

Photo: Jun Sato/WireImage

俳優としてはTVでの活躍が多く、近年はスティーヴン・ソダーバーグ監督・シャロン・ストーン主演の「モザイク〜誰がオリヴィア・レイクを殺したか」(2018)や「レジェンド・オブ・トゥモロー」(2018)などに出演。2024年には、大阪コミコンにクリストファー・ロイドとともに出演した。

ジェニファー役 クローディア・ウェルズ

Photo: Sunset Boulevard/Getty Images

第1作でマーティのガールフレンド、ジェニファーを演じたクローディア・ウェルズはPART2でも続投の予定だったが、母親がステージ4のリンパ腫と診断されたことから家族を優先するために続編への出演を断念した。俳優業から離れる辛い決断を下したが、本人は「これが私にとって正しい選択だとわかっていました」と後に語っている。

Photo: Michael Ostuni/Getty Images

1991年に開業したメンズウエアのショップを経営する傍ら、2000年代から俳優業を再開してインディペンデント映画などに出演している。2010年に配信開始されたゲーム『Back to the Future: The Game』に声の出演をし、25年ぶりにジェニファーを演じた。里子を支援する非営利団体の理事を務めるなど、人道支援活動にも携わっている。

ジェニファー役 エリザベス・シュー

Photo: ©Universal/Courtesy Everett Collection

クローディア・ウェルズの降板を受けて、続編2作でジェニファーを演じたエリザベス・シューは『ベスト・キッド』(1984)ではラルフ・マッチオの相手役、『カクテル』(1988)ではトム・クルーズの相手役を演じている。『バック・トゥ・ザ・フューチャー』シリーズ後は、シリアスな作品からコメディ、アクションまで幅広いジャンルで活躍。ニコラス・ケイジと共演した1995年の『リービング・ラスベガス』ではアカデミー賞主演女優賞にノミネートされ、インディペンデント・スピリット賞主演女優賞などを受賞した。

映画監督の夫デイヴィス・グッゲンハイムとともに来場した2024年の英国アカデミー賞にて。

Photo: Gareth Cattermole/BAFTA/Getty Images

Netflixシリーズ「コブラ会」シーズン3(2021)では、『ベスト・キッド』で演じたアリ・ミルズ役でゲスト出演。夫のデイヴィス・グッゲンハイムは映画監督・プロデューサーで、『不都合な真実』(2006)や『STILL:マイケル・J・フォックス ストーリー』(2023)などで監督・製作を手がけている。

Text: Yuki Tominaga

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